鳴子温泉のアトピーこけし





   鳴子温泉(宮城県)




 農家の人々の保養のためにある、国道沿いに広がる静かな湯町。
湯宿の多くは、大きな自炊棟を持ち、道端には硫化ガスがただよう。
お庭の小屋には、ぶくぶくと勢いよく音を立てた源泉が噴き出す。
町のいたる所には、人気もない間欠泉、そして白い湯煙が立つ。

 草負け、あせも、痛風、リウマチ・・そしてカイカイに、その豊かな恵を惜し気もなく与える。

 「美肌の滝の湯、カサの東多賀」、この文句に人々はそこ、ここと直行する。
しかし鳴子は、強アルカリから強酸までの温泉の体験学校、湯治博物館。
 とびっきりしょっぱいお湯や、酸っぱいお湯にこだわらないで、この時ばかりは他の湯も試してみようか。
 加水加温はあまりせず、成分は本物、湯温は45度から46度と高湯。地味だけど自信はここからやって来る。
 自炊宿の郡集落は、東北の農民が生み出した健康文化。
 直しに急ぐなら、カサづくりに、酸性硫黄泉。道草をしても良いのなら、中性等のミネラル泉。
 ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、炭酸、塩、鉄、何でもあるある。けれど、どのお湯もやっぱり熱いな。
 すごく肌がぬかるむ時、うなぎ湯だけは避けたい。
鳴子名物うなぎ湯ー強アルカリ泉は、つるつる、ぬるぬると、美肌づくりにいいけれど、殺菌弱く、痒みが増し、赤く厳しいお湯となる。
 
 アトピー・レベルを知り、肌質を知り、お湯を選ぼう。

 カサつくりの名湯、滝の湯だって、草津のそれほど刺激はない。
あまり痛いと怖がらず、人目が気になるとはばからず、湯の縁にいても、霊の湯をたくさん受けよう。
 東多賀も滝の湯も源泉は持って帰れる。

 皆がここは合うと言えば、そこで直さないといけないと思う。しかし湯治で7割の患者が良くなれば、そこは名湯だ。
 東多賀は、かの三頭火も絶賛した、カイカイ直しの伝統。
湯船につかるのは、中度以上のアトピーこけし。通いに、泊まりにせっせと励む。
 滝の湯ー45度。東多賀ー45度。鉄を選ぶか、石膏を選ぶか? 肌判断、肌判断。


 参考   宮城県ー鳴子温泉
 
 @共同浴場(滝の湯)−アルミニウム・マグネシウム ナトリウム・鉄泉・強酸性硫化水素泉
 
A東多賀の湯(自炊宿)−ナトリウム・カルシウム
硫酸塩泉低張弱酸性泉
     
Bその他の弱アルカリ泉〜中性の低張ミネラル泉多数あり(無色透明)




                              2006年7月 記







inserted by FC2 system